昇級審査、昇段審査とは
稽古を重ねて、自分の実力がどれくらいついているのかを師範、先生に見てもらい昇級、昇段にふさわしいかを審査をします。学校で言えば実力テストです。
審査を受ける目的
級、段が上がることでステップアップしたことになり、次の目標を持つ新たなスタートになります。また帯が上がることで後輩たちに対して、空手の技だけではなく、礼儀、言葉遣いなどお手本となっていかなければなりません。何事も目標を持って稽古していくこと、チャレンジすることが大切です。さらに上を目指す向上心を持つことにもつながります。
審査の内容
審査は基本、移動、型、体力(拳立て伏せ、ジャンピングスクワットなど)、柔軟、組手の項目で行ないます。基本は白帯から有段者まで変わりません。移動稽古は帯によって難しさが変わります。型は白帯の太極Ⅰからはじまり、帯が上がるごとに平安、安三、突きの型、黒帯(初段)の審査では三戦、転掌や最破が入ってきます。組手は茶帯(2級)を受ける時に5人組手、初段を受ける時は10人組手を行ないます。その他、各支部、道場で内容を工夫して行なわれます。
昇段審査での10人組手の意義
創始者の大山倍達総裁は『空手の命は組手にあり』といつもおっしゃられていました。基本や型がうまくても、組手が弱くては真の強者(強い人)ではありません。それでは自分の家族や身の回りの人が、危険な場面に出くわした時に、守ってあげることも助けることもできません。ですから昇段審査では、厳しい10人組手を闘い抜いた者だけが、昇段を許されます。そこで技術はもちろんのこと、最後まで諦めない強い精神力があるかどうかも審査されます。
審査を受ける上での心構え
審査前は稽古をできるだけ休まないようにすることです。そして師範、先生の言うことをしっかり聞く。師範や先生は大切なことをたくさんお話しています。自主稽古なども積極的にしましょう。審査会前日はしっかり睡眠をとり、当日を迎えましょう。当日も朝食をしっかりとって、万全で早めに審査会場にいきましょう。審査会前では、ストレッチを十分にして、型などの最終チェックをして下さい。今までやってきたことに自信を持って、堂々と審査に臨みましょう。
審査での注意点
基本稽古
手技では三戦立ち、騎馬立ちでしっかり構えて、基本技に全力で気合いを入れて行ないましょう。その際、拳の握り、手刀、引き手に気をつけましょう。蹴り技も中足、足刀の返し、背足の伸ばしなどに注意して蹴ることです。帯の前、横をしっかり掴み、帯から手が離れないように注意します。そしてヒザの抱え込みもしっかりと行ないましょう。手技や足技とも手だけで突いたり、受けたり、足だけで蹴らないように、腰を入れて行ないましょう。
移動稽古
前屈立ち、後屈立ち、騎馬立ち、三戦立ちを正しい足幅で行ない、移動の際、体の上下動を少なくして、バランスを崩さないようにしましょう。
型
正しい立ち方、正確な移動、受け、突きを心がけましょう。気合い、残心を忘れないように。平安以上になってくると『力の強弱』、『技の緩急』、『呼吸の調節』が重要となります。三戦、転掌では息吹がしっかりできているか審査します。
組手
組手は最後の項目となりますが、その前に拳立て伏せ、ジャンピングスクワットなどの体力を見る項目があります。まだそれまでの審査項目の疲れが溜まった状態での組手となります。気持ちをしっかり持ち、組手立ちで顔面をガードしましょう。肩の力を抜き、丹田を意識して、組手する相手の攻撃に対応できるようにしましょう。そして間合いに合った技を正確に極めて行きましょう。受けもしっかりとしましょう。
師範の視点
普段、稽古をしていることを審査するわけですから、昇級、昇段する級、段の移動、型ができない、わからないでは不合格となります。師範、先生は、まず全力でやっているかどうかを見ます。基本で力を抜いている人はすぐわかってしまいます。支部、道場で受ける場合は普段の稽古で努力しているか、礼儀などの行ないはどうか、行事に参加しているかも考慮されます。
黒帯を目指す意義
入門者した時の挨拶で良く聞かれるのが、『空手を始めたのだから何年経っても黒帯を取るまではやめません』という力強い話です。それくらい入門者にとっての黒帯は神々しいものなのではないのでしょうか。黒帯を取ることは簡単なことではありません。しかし、師範、先生の指導の下、先輩、同輩、後輩と積み重ねることによって、着実に力がついてきます。黒帯を取ることにあきらめないで、努力した者は必ず取得することができます。何歳から始めても遅いということはありません。